アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

さあ、新しいパンの歴史の始まりだ。

実はというと、四季のカンパーニュの配合と製法すべてを二月から変えている。八年目の大改革。しかし、食べている方はほとんど違いが分からないらしい。常連さんで変わったことが分かる方でも、何が変わったのかは具体的に分からないらしい。この、何が変わったか分からない変化にこそ、八年間もの時間がかかったのだ。

新しいレシピでは、始めて食べた人で「マズい」とか「美味しくない」とか感じる人はほとんどいないと思う。マイナス要素を消すのにかかった時間が八年。最初は勢いで思いついた大きなパンを焼き始めたんだが、酵母の酸味が「腐ってる!」とクレームになることがあった。どうしても硬くなる性質に不評もあった。しかし僕にもこだわりがあったし、おいそれと組成を変える気にはなれなかった。

ただ、こだわりと一般の人たちの感じる美味しさの溝を埋めないと、ただの独りよがりになってしまう。この葛藤に悩み続けたのが八年。そして決心したのが一ヶ月前。今までと同じように、生地に砂糖、牛乳、バター、卵、動物性原料を使わず、市場の99%を占める一般の菓子パンに食味で劣らない。僕が目指すカンパーニュは、スーパーで売られているパンと同じように美味しく感じてもらえるものだ。こだわりだけを一面に出して自己満足するものではない。

僕から始まる新しいパンの歴史のために。日本で起こった「あんパン」、「耳まで柔らかい食パン」に次ぐ第三のイノベーション。それが、四季のカンパーニュ。これは純然たる日本生まれの新しいパンの歴史の始まり。僕が今まで生きてきた時間の四分の一を費やして創り上げた、誰も見たことのない世界だ。