アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

女王製菓に続くおバカなブランドが頭の中でかたちになりましたので、ひとまずご報告申し上げます。

高円寺に出店してから1年とちょいですが、その間僕はほとんど働いていないわけです。仕事と言えばスタッフのお手伝いをして余計に手間を取らせたりとか、ワイフにかまってもらおうとして邪魔がられたりしている毎日でしたね。何か新しい商品を考えていたかと言えばそうでもなくて、絵本もしばらく描いてないし、女王製菓の新作もほぼ皆無というありさま。サボってるなあ、と自分でも感じていたのですが、どうにかしなきゃという気持ちも起きなかったわけです。

で、久々にペンとメモ帳を持って近所のスタバに行ってボーっとしてたら、ココ1年間のいろんなことが頭に浮かびましてね、ああ、けっこう大変だったなあとか、もうちょいなんかできねえかなあとか、いろいろとボーっと考えてました。アイスコーヒーは口を付ける前に氷が全部溶けてしまっていました。1時間くらいは考えていたんでしょうか。

でまあ、浮かんだわけです。新しいブランドが。これも突然浮かんだわけでなくて、まあ、こう、何がやりたいとかね、そういうことではなくて、自分が世の中のユーティリティーとしてどういう役割を果たせばいいのかとかね、パンを焼いている以上、食品に関わっている以上は、自分の職責を果たさないといけないなあなんて。1年間いろいろ見ててね、もうみんな手詰まりというかね、モノを作ってる人が疲れちゃってる気がしてるんですよ。受託でやっている人とか金が払える企業を相手にしてるからいいんだけど、準大手とか中小のメーカーとか、もう疲弊してる気がします。

だからというわけじゃないけど、もう夢や希望のある商品が生まれてこないんですよ。見ていて楽しくない。まじめなんです。みんな。まじめにカッコいいものを作ろうとしてメタメタになっちゃうとか。日本のものがウケないからといって海外からブランド引っ張ってきて誤魔化すとか。もう見ていて目も当てられない状況ですよ。特にパン業界なんて。準大手以下が自滅しちゃってる気がするんですよね。その間にもヤマザキさんはグイグイ開発してるんですから。

この前も電話取材でね、いろいろしゃべっていたんですが。リテイルの目的地が本場の味を目指すところになってからおかしくなったんですよね。僕らは日本人なんでいくらがんばってもフランス人にはなれないんだけど、でも本場に近づけようとがんばる。どんなにがんばっても本物になれないのにね。そんな不毛な努力をしている間にヤマザキさんはラムネ味のアイシングをかけたパンとか「おバカな」商品を作ってるんです。自由にのびのびと。僕らリテイルは「本場」という呪縛から逃れられないまま、閉じた世界で暗闇の中にどんどんはまりこんでいく。逆にヤマザキさんは自由な鳥のようにどんどん世界を広げていく。

「いわゆるパン好き」な人がリテイルを殺していくんですよ。ハード系なんて全体の1%のシェアも無いような商品にこだわっても、ゆっくり自殺しているようなもの。それよりも、もっと自由な発想とかね、面白がってもらえるようなものを作らなきゃね。「いわゆるパン好き」な人のお守りは他のパン屋さんにお任せします。

で、肝心の新ブランドなんですが、商標取ったりとかいろいろ手順を踏まなきゃいけないので8月に発表とかですかね。9月から発売開始です。これはネットも店舗も同時に開始します。ぶっ飛んだヤバイやつがあなたの食卓を劇的に変えます。とりあえずご報告まで。