アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

オッサンになることは若さを失うということではないよね。オッサンが言うのもなんだけど。

というわけで、準備は整っていよいよ幕を上げる用意に取り掛かりつつあるわけだが、最初に企画を考え始めたのはもう十二~三年前ということになろうか、初めて形にしたのが五年前でそれから紆余曲折があって今に至り、さらにこれから次のステージに進んでいくわけです。何のことを言っているのかとかまあ気にしないでください。

いろいろやってますがね、やはり大きな企業でやるのとは違って、予算だとか時流を見極めるとかねいろいろと難しいわけです。ここしかないというタイミングって突然やってくるんだけど、それまでにきちんと心も体も準備しておかなくてはいけないわけです。僕の考えではね、何か成すというのは人と出会って話が進んで誰かと一緒に事を起こすという流れではなくてね、自分の中に思いを溜め込んでどうにもならないくらいに膨れ上がって患って苦しんでね、それでも少しずつコツコツ積み上げてね、そうしてると周りの人たちが無視できなくなってきてね、知らず知らずのうちに縁が集まってきて、でも一人でコツコツやっているというそういうことだと思っている節があるわけです。ものを作るというのは派手な仕事では無いけれど、作ったものが自分から離れて一人歩きして僕の代わりに世の中に面白い影響を与えていくのだとしたら、それでいいのかなとか思ってるんです。

まあ、そもそも他人と組んで仕事をするのがすごく苦手なので今のスタイルになっているんですけど、鎖国状態で無いと進めていけないこともいろいろあるんだなあとか気づいたり。知り合いも友達もそんなに多くないタイプなので、なんかみんなで一緒にやろうぜ!とか、世の中を巻き込んでやる!とか、そういう野望もそんなに強くない。ただただ自分の頭の中に浮かんだものを大切に育ててあげながら形にしてあげて、でもって最良のタイミングで世の中に出してあげる。そういう仕事をコツコツ続けてきたわけです。

僕は、いきり立ったり気合が入ったりしている時はいい感じの仕事ができないんです。なんかこう静かな水面のようなね、そういう状態だとするすると仕事が進むんですが、これも経験則というかね気合を入れて考えて良いアイデアが浮かぶのであれば楽なことで、アイデアは無数に眠っているわけですからそれを形にしてあげる作業と言うのはものすごく静かなわけです。ナショナルデパートという考え方を思いついた頃と言うのはまだ若くてね、それこそ「世の中はどうしてこんなに面白く無いんだ!」とかね、そういう無理矢理な考え方をしていたものです。そのころの熱い思いは今でも胸の奥底にあるにはあるのですが、その熱い思いを実行するとなると静かな心を持っていないと成せないなとか思うわけです。

まあ、ことを成したわけではないからエラそうなことは言えませんがね。僕もオッサンになって心穏やかに仕事ができるようになって、やっと自分を信じて仕事ができるようになってきたなあとか、そういう若いときには思いもしなかったことに気付いたわけです。今の若い人を見ていると羨ましいくらいパワーがあっていいなあとか思うんですが、オッサンになった僕はああオッサンになるって悪くないなあとかも思うわけです。これからもどんどんオッサンとして加速していくわけですが、若い人たちのパワーとは違うしなやかな仕事を心がけていきたいですね。

オッサンになることは若さを失うということではないよね。小汚いオッサンが言うのもなんだけど。