アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

どういう人になりたいか

うん、まあ、大切なことなのではないかと思うのだけどちょっとメモ書きで。

将来の夢というのが誰にもあって、っていうか“あった”なのかも知れないけど、幼稚園なら仮面ライダーだったかも知れないし、小学生ならパイロットか野球選手かJリーガーになって売れないモデルでも嫁さんにするとかだったりとか、中学生とか高校生ならなんだろう現実味のある高収入な職種なのかな、大学生になったら就職できれば何でもいいです的な何かになるのかな。いや今なら幼稚園から大学生までみんな「公務員」って答えるのだろうか、それとも世界最強の利権保護型サラリーマンとして有名になった「東京電力」とかになるのかな。まあ、女子高生の憧れの職業でキャバ嬢があがるくらいだから世の中の意識は思っているよりも流動的なのかもしれない。

で、どういう人になりたいかっていう事についてなんだけど、ここで言う「どういう人」というのは「職業」とか「人柄」とかその他いろいろな要素が加わって他人からどのように評価されたいかという承認欲求をキャラクター化したものだと思うんだけど、それについて最近僕の中で徐々に答えが出つつあったりする。

いままでずっと「どんな人(職業)になりたいか」よりも「何がしたいか」でずーっと進んで来たように思うんです。一緒じゃないの?言われる向きもあるかもしれませんが、「なにがしたい」というのを中心に置くと職種というのは限定されないんですよね。それは今までの僕の職歴でも言える事で、最先端技術の事業化っていうテーマをもっていた時期があって、WEBとかでコミュニケーションとデザインとはなんぞやとか考えていた時期があったり、食卓のメッセージとしての食品イメージを具現化するとどうなるのかとか、まあいろいろと十数年渡り歩いて来たわけです。

で、あと二年で四十歳とかになろうかと言う時期になって、今来た道程の先に僕はどこに進みたいのかという事を真剣にとまではいかないけど何となくは考えていたんですね。最近。今やっているパン屋さんも30歳で始めた時にはとりあえず10年はやってみようと考えていたんですが、8年経って至った結論は「やっぱ違うな」ということでしかなかったりして、途中で気付いてはいたんだけどすぐにやめても次の仕事を自分で作らないといけないわけでね、普通は転職とか次の職場を探すんだろうけど僕の場合は新しい職業自体を作らないといけなくなるんです。

まあいろいろな人に会ってきました今の仕事でも過去の仕事でも。人付き合いがものすごく嫌いなので普通の人からすると少ない交友関係ですが、でも人と会うごとにこの人は僕の持っていない何かを持っているのだろうかとか穴があくほど見ているわけです。いまだ見えていない自分の可能性の種は他人と接する事で気付く些細な事だったりするのでね。で、まあ同じ業界の先輩な人たちともお会いしていろいろと話しを聞かせていただくといろいろ勉強になります、成功されているわけですから同業者としての立場ではリスペクトしています。それはそうですよ成功するのって結構むずかしいですからね。ちゃんとリスペクトしてます。

ただ、問題が一つあるわけです。語弊も何も他に表現方法が無いのでどうかと思ったりしますが、僕がパン屋をやっていなかったら僕は彼らを尊敬してただろうかという点については答えが出ないままでいるわけです。同じ業種をやっていて成功しているから評価できるのであって業種を離れた時に僕はその人を一人の人間としてリスペクトできるのか。みんなに対してそう感じているわけでは無いんですよ。業界を離れても尊敬できる人もいるとは思うんです。でもその場合も業界の枠の外にはもっと魅力的な人がたくさんいるという現実もあるわけです、それこそ隣の岩の下のミミズのようにたくさんうじゃうじゃいるわけです。業界内限定で言えばこの人をリスペクトできる。っていう価値観が僕の人生の中ではほぼ意味をなさないわけです。お金を持ったおじさんなんて世の中に腐るほどいるわけですから。

その業界の先輩に自分が心の底から羨ましいと思える人生を送っている人がどれくらいいるのか、というのは仕事や職種や参入する業界を選ぶ上での基準としてアリなのではないかなんて思います。仕事の成功や金銭面での成功は抜きにしてね。以前にTwitterで一流とは何かみたいなことで意見交換していた時に「でも基本は家族みんなが笑顔でいられるなら、一流(の仕事が出来ている)と言って良いんではないでしょうか。」という答えが返って来て。なるほどなあと思ったことがあります。その人はパン屋でなくても成功しなくても楽しい人生を過ごせる人なのだと思います。

どういう人になりたいか。はそのまま、どういう人を羨ましく思うか、ということにつながります。僕はこの1年くらいをパン屋ではない自分の人生、パン屋の次に自分が生きていく人生の準備に費やしています。自分の仕事に満足しながら過ごす時間、ワイフと一緒に静かな時間を過ごす時間、自分でしか過ごせない借り物でない人生を送るためにはどういう仕事で社会とつながっていくのか、そして家族とどのように向き合うのか、「どういう人になりたいか」というのは極めて抽象的であまりに現実的で、もしかするとものすごく単純な問いなのかも知れないね。なんて。

で、まあ自分の中に芽生えた羨ましく見えるもう一人の自分というのが見えてきたので、謹んでここにご報告させていただくわけですが。それにしてもここに辿り着くまで38年もかかったのかという我ながら飽きれるほどのスローペースです。普通は大学卒業の頃には人生設計とか立ててるわけでしょ。そう思うとやっぱりみんな大人だなあ~と感心します。これから先は自分の仕事であり自分の時間であり自分の家族を大切にできて、そして自分の誇りを忘れないような生き方の破片を少しずつ集めていきたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。