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アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

高円寺のお店のこと

ナショナルデパート

高円寺のお店の不動産の契約が来年の三月で更新になりますよという通知が届き、ああ、もう三年が経つのかという思いと同時にいろいろと考えていたことの答えを出すためにここで高円寺のお店を一旦閉めて次のミッションに取りかからないといけない時期が来たのかと、そういう思いが僕とワイフの頭の中に浮かんだわけです。

高円寺のお店はもうすぐ三年が経ちます。いろいろな役割を担って出店させた店ですが、もう十分すぎるほどの役割を果たし売上自体も大きく利益を出すというよりも赤字を出さないという最低限の結果を淡々と出している感じだし、何度も雑誌に取り上げられたし、テレビにも出していただいたし、気がつくと高円寺のお店が今すぐ無くなってもその他で十分補って余ある状態にまでになっていました。

高円寺のお店は現在のナショナルデパートの根幹を築くにあたって素晴しい役割を果たしました。まず最初に百貨店催事のきっかけをつくってくれたこと。これは高円寺以外の場所ではあり得なかった偶然が幸運になったことで、たまたま高円寺近隣に住まわれていた銀座のデパートの担当者のご家族が散歩の途中でウチを見つけてくださって、そこから現在までに至る催事の歴史が始まったわけです。よくシェフの人たちが自慢話しのように「デパートの担当者がひっきりなしに挨拶に来て名刺がこんなに溜まって困ったよ」みたいな話しをしますが、ウチは無名も無名でしかも岡山それどこ?的な感じの田舎者で、こうやって偶然に通りかかったご家族の方から聞いてウチを偶然知ってくださってという偶然重なり過ぎだろオイみたいな感じでここまで来たわけです。2011年の今年は1年間で全国津々浦々17回も催事出店させていただきました。これも高円寺にお店を出したから始まったことであって、他の場所であれば催事に呼ばれることすら無かったのではないでしょうか。本当にありがたいことです。

そして高円寺のお店がナショナルデパートにもたらしたもうひとつの最大の幸福はDEAN&DELUCAとの関係が始まったことです。僕がナショナルデパートというプロジェクトを起案したきっかけであり、日本に上陸する前からずっと憧れていた高級食料品店ブランドDEAN&DELUCAからパンの卸しのお話しをいただき、ナショナルデパートのブランドを尊重していただきながら取引をさせていただけるという、僕個人の自分史にも深く刻み込まれるほどの大きな出来事でした。これも高円寺にお店を出してそこに担当者の方が来店されて始まった幸福だったわけです。

雑誌やテレビなどのメディアへの登場も格段に増えました。パン屋をやる前から購読していた「雑貨カタログ」に四ページに渡って紹介されたのは一生の思い出になりました。憧れの雑誌に畑違いのジャンルから取り上げてもらうという幸運にも恵まれて、本当に良かった、諦めないで自分のスタイルを貫いて良かったと心の底から思いました。岡山にいたのではここまで取り上げられることも無かったでしょうし、知ってもらうことすら無かったのではないでしょうか。そう考えると、もし高円寺にお店を出していなかったらと考えると少し怖い気もします。

とまあ、例を挙げるとキリが無いのですが高円寺のお店がナショナルデパートにとって僕にとって大きな幸運をもたらしてくれたことには大変感謝しています。優しい大家さん、周囲の人たち、スタッフたち、多くの出会い、高円寺にお店を出して本当に良かったと心の底から感謝しています。でも高円寺店には最初から与えれていた役割があって、それを果たしたら店は閉めるという前提であったことも事実であるわけです。運良くここまで続けられましたがパン好きブロガーたちの執拗なバッシングを受けて一時期は早期に閉店せざるを得ない状況にまで追いつめられたこともあり、赤字が出たら閉店しよう、三年間の更新のタイミングで閉店しようというのは僕とワイフ間ではなんとなく決まっていたことなのです。それにスタッフの女の子が辞めるタイミングも来年の六月と決まっていたので、更新月である三月で一旦閉店しようという流れで話しは進んでいました。

で、とりあえず大家さんに更新料まけてもらう交渉しようよ更新料安ければもう少し続けていいんじゃない?ということになり不動産屋さんに掛け合ったら「大家さん更新料ゼロで良いって」というまさかの即答。でもスタッフのゆうこちゃんが六月には東京を離れるしねと言っていたら「年内いっぱい東京にいます」というまさかの展開。というわけで前置きが長くなりましたが高円寺店しばらく継続します。

でも継続には条件があります。いままではショールーム的な役割として高円寺店は存続していました。利益が大きく出なくても存在していることに意味があったわけです。しかし来年には三店舗目の出店が決まっているので、製造に負担がかかるのを防ぐためにも高円寺店の利益が少ない状態では継続が困難になります。なので新しい商品や展開、イベントなどを企画して少しずつ賑やかにしていく工夫をする必要があります。細かなことについてはこれから少しずつミーティングをしていくとして、今までとは少し役割が変わっていくというのは仕方が無いのかなと。

今年のまとめとか来年の抱負についての細かいところは別のエントリーに書くとして、来年はナショナルデパートにとってものすごく重要な一年になると思います。なのでいろいろ身軽にして突っ込んでいくという考えでいたのですが、いろいろ偶然が重なって高円寺店継続ということになり、であれば高円寺店もついでに戦力化してしまおうということですね。振り下ろす斧は重い方が威力が強いというものです。ここは気張っていきましょう。ということで四年目を迎える高円寺のお店のことについて少し書いてみました。では。