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アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

無事に39歳の誕生日を迎える事ができました。

ヒデシマ

本日、無事に39歳の誕生日を迎える事ができました。本来であればお世話になったみなさまの玄関口や枕元に立って感謝の気持ちを伝えなければいけないのですが、なかなかそういうわけにもいかないものですから、今年もブログで誕生日を迎えた喜びについて書いて参りたいと思っています。恐縮でございます。

今年に入ってすぐ僕はワイフに謝りました。すまん、身も心もすべてを僕に投げ出してくれたのに、僕は何もしてやれなかった。すまん。と。二人で泣きました。正月から泣きました。今まで人生のリソースをすべて仕事に注ぎ込みました。もう何も残っていません。ワイフは僕と一緒になってから普通の幸せを何一つ得ていないんです。僕は何もワイフに与えていません。取り返しがつかないほどに時間は過ぎていきました。すべては僕の至らなさが招いた現実なんだということをきちんと受け止めていきたいと思います。それでもワイフは幸せだと言ってくれます。僕はそれに返す言葉が浮かびません。もう何も言葉が浮かびませんでした。

今年はナショナルデパートというものを始めて10年目という節目の年であり、自分で決めた「10年でなんとか形にしよう」や「10年で駄目なら諦めよう」という一つの区切りとなるタイミングでして、始まりなのか終わりなのかわからない瞬間のカウントダウンの一年となるわけです。本来なら、いろんな人に出会えていろんな人に支えられてここまで来ました、ありがとうございます!皆様に感謝しています!アイラブニューヨーク!ロックンロール!と書くべきなのでしょうが、思えば30歳の時に始めたこの仕事、なかなか芽が出ないまま10年目を迎えてしまったなあというのが正直な感想です。いろんな人に迷惑をかけて、いろんな人に嫌われながらここまでよくもまあヌケヌケと生きてきたなあという感慨と、何も足跡を残せなかった後悔の念が無いと言えば嘘になります。やっぱり。

まあ、こう書くとミもフタもないんですがね。

先日掲載していただいたパン屋さんのムック本が送られてきまして、パラパラとめくっていたときにふと思いました。

ああ、10年前と何も変わっていないんだなあ。と。

プレイヤーは変わっていますよ、その時代を代表するシェフの顔ぶれは変わっているのかもしれません。お店の内装なんかも時代の流行がありますからね、ちょっとシャレオツな光り物の素材を使った什器がダウンライトでピカピカに光っているとかねそういうのがカッコいいと言われた時代もあっただろうし、今のように「幸せのパン」の映画そのまま出てくるようなアンティークっぽい木の何気ない家具に囲まれた空間で素朴でナチュラルでほっこりなものをという感じも最近では流行かもしれませんね。でもね、並んでいるパンの種類は10年前と何も変わっていないんですよ。人や内外装は変化しても、パン自体は10年前と何も変わっていないんです。

今までに無い新しい事を始めたらみんなから尊敬されるよ!お金が儲かるよ!新しい事を新しいものを生み出すのはすごく楽しいよ!!ということを世の中に実証できなかったのは僕の実力の無さ、努力が足りなかった結果だと受け止めています。それが一番の心残りです。僕は思いました。ああ、僕の9年間は何の変化ももたらせなかったんだな、だから僕は自分の仕事に意味を見いだす事すらできなかったんだなと。その結果として10年間この界隈で内外装や立地やコンセプトでなく「新しいパン」を生み出そうという動きが出てこなかったわけですから。そんなお前一人の力でそんな世の中に影響を与えられるわけないじゃないか、と言われるかもしれません。でもね、10年間ずっと同じ場所からこの界隈を見続けて、僕は何もできていないわけです。存在意義を見つける事ができなかったわけです。

9年前、変化をもたらそうと今の仕事を始めました。結果は失敗です。これはちゃんと受け止めないといけないです。10年やって分かったのは少し前にブログに書いたように、オリジナルなんて言ってはいけない。ということです。去年の年末から今にかけて今後の仕事の進め方についてずっと思案していました。今まで拒絶していた事をすべてやろうと思っています。今までは依頼を断っていたり絶対にやろうとしなかったことについても、これからはどんどんやっていきます。そうすることで新しい道が見えてくるのではないかとそう思っています。新生ヒデシマの仕事については近いうちに皆様にご覧いただける形になると思います。見たときには、ヒデシマ諦めたんだなあ、と笑ってやってください。

最後に、四月に僕の本が出版される事になりました。詳細はおってお知らせします。今、近所のカフェでカフェオレを飲みながら慣れない執筆作業を必死でやっています。30代最後の一年、せめてこの一年だけはこれまでの9年間のように泣いたり後悔したりしないよう前を向いてただ前だけを向いてワイフと一緒に進んでいければなと思っています。そして幸せに一歩でも近づけるように頑張って参ります。

ロックンロール。

ナショナルデパート

秀島 康右