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アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

10年前。

10年前、僕は今と同じライ麦パンを焼いていたが全く売れなかった。その半年後カラフルな5kgのパン「四季のカンパーニュ」を生み出した。そしてそれも全く売れなかった。何度も店をやめようと思ったし、体を壊したり精神的に参ったり、いろいろとまわりに迷惑をかけながら今までパン屋を続けさせてもらいました。

いろんな場所にパンを担いで売りにいきました。ワイフと出会ってからプライベートな旅行なんて一度もありませんでした。札幌に行っても観光などせずにひたすらにパンを売り、京都に行ってもお寺を巡ったりすること無くパンを売り、日本全国津々浦々どこに行くのもパンを売るためでした。

今日、岡山駅に新しいお店をオープンさせました。名前は「NEW WORLD BAKERY」です。

10年前、見向きもされなかったライ麦パンが飛ぶように売れました。10年前、試食を吐き出された四季のカンパーニュが何十本も瞬く間に完売しました。10年前、神戸じゃないのに、岡山のパン屋さんがこんなものを焼いてもね、とバカにされたパンが今では全国区です。世界のどこにも無いパンを10年間追い続けてきました。自分以外、世界のどこにもいない誰でもない自分になるために10年間ただパンを焼いて切って売ってきました。

今日、フランスでもドイツでもない「ニューワールド」の無名のレシピを焼き始めました。40個焼いて10個残りました。カンパーニュに比べたら売上は何十分の一です。でも、10年前は存在しなかった四季のカンパーニュも、いまでは認知され世の中の一部になっています。もしかしたら10年後には、フランスでもドイツでもない「ニューワールド」のどこかでひっそり食べられている無名のレシピが、普通に食卓に並ぶ日が来るのかもしれない。そして、そういう時代をつくることができるのは僕以外にいない。

10年かかったけど、やっとひと仕事を終えた気分。

そして、また新しい仕事が始まる。