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アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

新しい事をしようとするパン屋は早く死ぬという風潮。

ヒデシマ

めずらしく眠れないので、ふと思い出したことを。

癌を告知された日の夜、僕はあるパン職人のことを思い出していた。4年前に41歳の若さでこの世を去ったパン職人。

当時すごい人がいるんだなあと、本なんかで目にするたびに感心していた。30tの穀物倉庫を整備して、地元で採れた麦を石臼で挽き、穀象虫の被害をどうやって防ぐかに頭を悩ます。パン屋なのにもうメチャクチャなことをやる人がいるんだなあと、ちょっと憧れてもいた。

その方が癌で亡くなったというのを知って、そして店も閉店するということを伝え聞き、何か虚しさしか残らない感じがして悲しかった。いくら頑張っても死んだら終わりだ。

腫瘍が見つかり、悪性だと知らされ、進行していることが分かり、手術後に転移が見つかり、と、僕は癌の王道を進んでいる。

このまま新しいパンの可能性を追求しても、多分何の得にもならないし、僕の寿命は縮んでいく一方なのではないかな。そんなことが僕の頭の中に浮かんでいた。

前出のパン職人のことを思うと、新しい事をしようとするパン屋は癌で早く死ぬ、という流れなのかなあ、と不謹慎なことを思ったりした。

果たして新しいパンを生み出すことに意味があるのか?多分無いと思う。単なる自己満足かな。新しいことを始めるのは大変。認められるまでに時間がかかるし、認められてもお金にならない事もある。ましてやそんな苦労の先に死しか無いのなら、新しい事をやる気苦労なんか避けて安気に暮らして適当に金儲けしたほうがよっぽど幸せだと思う。

今日、ワイフとゆきちゃんに相談した。どのタイミングでどうやってパンを辞めるか。

いわゆるパン好きと言われているキチガイどもから攻撃されてまで、パンを焼き続ける意味なんて僕には無い。10年やってきて、パン屋という仕事を選んだ僕の選択は間違っていたのかなと、あらためて考えさせられる。答えは分からん。まあ、どーでもいいや。寝るわ。