アイデアのスープのレシピ

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手作り主婦とハンドメイド作家は今夜もミンネの夢を見る。

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手作り主婦というキーワードでの流入が多いんですよね。ずっとここ数ヶ月。

原因はこの記事なんですが。

プチ起業、ママ起業、ハンドメイド作家が嫌われる本当の理由。 | 「アイデアのスープ」

 

で、ちょっと仕事でハンドメイド作家と言われる人たちの傾向を調べるために、いま飛ぶ鳥を落とす勢いのminneのアプリを落として数時間眺めてました。いや、スゴイです。手作り雑貨がスマホの画面いっぱいに洪水のように雪崩れ込んできます。

 

こういう手作り系のサイトには主婦が家事の合間にちまちま作った物が並んでると思い込んでいたんですが、完全に職業手作り品のほうが多いのではないかと思いました。主婦が作っているというよりも、いままでギャラリーで展示販売をしていたんだけど売上がさっぱりだったアマチュア作家さんたちの終着駅と化しているような気がします。

 

ハンドメイド系というカテゴリーの中に収まることで、プロではないという前提で見てもらえます、そういう場合、求められるクオリティーのハードルは一気に下がるわけで、これをメーカーが商品として作ったらバイヤーの目にも止まらないだろうと思われるものたちが、CtoCの大河の中で盛んに取引をされているわけです。プロが設計してデザインして資材を調達して生産ラインを組んで営業が走り回って、、、という従来の流通までの経路が否定されている世界、これがハンドメイド作家を一般消費者の厳しい目から守ってくれる防御壁として機能しているわけです。

 

なので、minneで売られている作品(商品)のほとんどが、パーツとパーツを組み合わせたアッセンブリー作業で成るもので構成されています。ユザワヤやOKADAYAや楽天の手芸品店で購入できる資材に簡単な加工を施したり、単にパーツ同士を組み合わせたりしている商品が大半です。中には美大を卒業したけど作家をこじらせてしまったガラス作家がパーツを作って紐とアッセンブリーしてたりするのもいましたが、そういうのはまだ少数派で、今後は、プロとしてはレベルが低いけど、一般人の延長としてみたらレベルが高い人達が増えていくと思います。

 

この、一般人から見たら憧れの対象となる人には「♡マーク」が押されます。作品(商品)自体がどうのこうのというよりも、自分と同じシロウト(本当はシロウトではない)人たちがプロでなくても作品が作れるということに対する憧れがminneを作り上げている雰囲気なのではないでしょうか。流行りのキュレーションというんでしょうか、単にユザワヤや楽天の手芸店で買ったものだけど、それをセンスよく選ぶことに価値が見出されているわけです。

 

こういう人たちは単純にハンドメイド作家と言うよりは、いわゆる、、、

 

『ビジネス手作り』

 

なのではないかと思っています。手作りを隠れ蓑にしたビジネスですね。大きな設備が必要なく、長い修行期間が不必要な技術も必要なく、単にセンスだけで乗り切ることができる世界にあっては、器用さこそが必要なスキルの土台であり、売上を左右するのがセンスということなんだと思います。マーケティング無き市場というすごい新興市場です。

 

手作りとはいえ、加工や組み立てを業者に投げているものや、中にはTシャツプリントを生業としている法人が個人を装って出品しているところもチラホラ見られますし、個人で出品している人も、デザインデータだけ作ってプリントは業者に投げるという、これで手作り雑貨といえるのか、と疑問に感じるものも多くありました。まあ、別に結果として商品があれば過程を問わないのであれば、『ビジネス手作り』の範疇として問題はないんですよね。

 

手作り主婦とハンドメイド作家は今夜もミンネの夢を見る。

で、ずっと眺めてて一つの傾向が見えてきました。こういったハンドメイド作家さんの作る作品(商品)のほぼすべてが「技法」から始まっているような気がしたんです。通常というか従来、表現というのはまず主体があって、それを可視化するために表現という手法や技法の結果があるのですが、ハンドメイド系においては、ネットで調べた技法やワークショップに参加して触発されたマインドがからみ合って「私もやりたい」に発展している系にも見えます。自分探しの末にダブルスクールで通ったクリエーター系の専門学校で学んだ技法が世間では通用しない。じゃあ、なんか作ってみよう。という感じです。

 

企業が長い会議の末に今売れるものは何かと答えを出して企画を立てる従来マーケティング手法から、個人が自分が作りたいものを作ってそれが売れるという新しい世界。これはほんとうに面白いと思います。

 

われわれ会社をやっているような身としては「作ること」は商品を製造する工程の一部として捉えているので、作ることが楽しいとか、表現が云々とか、そういう次元に立っていません。スタッフの給料や家賃やいろいろな経費を払わなくてはいけないし、そういう現実の低みを乗り越えてその先の「表現」というものをいかに広範囲に換金していくかが命題なわけです。

 

そういう比較をしてみても、ハンドメイド作家という位置づけは、クリエイティブという病に冒された人々を救う方舟として大変よく機能しているのだと思いました。手作り主婦とハンドメイド作家は今夜もミンネの約束する幸せな夢を見るわけです。

 

なんで、ヒデシマはminneなんて見てたの?という疑問については、まあ、ハンドメイド作家が作っているものを良く知ることで、従来マーケティングと新興市場の間を突けないかなあという“よこしま”な思いからですよ、奥さん。