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アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

喫茶店のマスターやママは街のカウンセラーである。カウンター越しにずっと喋り続ける人の研究。

アイデアのスープ

歯医者で土台を入れてもらってちょっと一服に少し。

 

僕はほぼ毎日のように喫茶店に行っている。

 

朝はモーニングを食べに、来客があればちょっと行こうかと、社長室が屋外にあるのでいまの季節なんかは寒いので取引先の方から「喫茶店行きません?」と言ってくれて、打ち合わせなどは外で済ませることが多い。

 

で、喫茶店に行くと毎日のように通う常連さんが必ずいる。僕の通う店は数件あるが、そのどこにも毎日通う常連さんはいる。喫茶店の客層の高齢化はかなり進んでいて、だいたい60代以上のリタイヤ組や、50代の現役オジサンが多い。40代前半の僕なんかはホント若者扱いだ。

 

カウンター越しにずっと喋り続ける人の研究。

喫茶店に通っていると、常連さんの中でも店のマスターやママさんに向かってひたすらに喋りかけ続ける、いわゆる「スピーカー常連」という存在に出くわすことがある。新聞やテレビで見たニュースの話から始まり、仕事の話、家族の話、病気の話、他の常連客の悪口など、マスターやママに向かってひたすら喋りまくっている。

 

喫茶店での会話のほとんどが他人の悪口か、人の財布の話か、自分の自慢話だ。

 

痛ましいニュースがあれば被害者が可哀想と言い、犯人の育ちが悪い親はどういう教育をしているのかと言う。誰かが家を建てれば、悪どい事をして稼いだ金で立てた家に住むなんて良いことにはならないと言い。自分が家を建てればシステムキッチンがどれだけ高価だったのかを力説する。

 

若い女性がカウンターに立つ喫茶店に通っていた時などは、自分の話を聞いてもらいたいオジサンたちがカウンターに列をなしているのを眺めるのが日課だった。オジサンは若い娘に自分の自慢話を聞いて欲しくてたまらない。キャバクラに行って大枚をはたいて若い娘の時間を買うのが勿体ないから、1杯数百円のコーヒーで何時間も粘ってカウンター越しの若い娘に自慢話を聞かせて悦に入っている。

 

また、年季の入ったママの喫茶店では、客も高齢のレディース・アンド・ジェントルメンが多いため、話題の多くが息子や娘や孫の自慢話になる。

 

たまたまそんな常連客の息子という人物を個人的に知っていることがあったのだけど、息子いわく、若いときに母親に結婚を猛烈に反対されてからはもう10年以上実家に帰っていないし、孫の顔が見たいと母親から懇願されているが、結婚前に嫁の実家にまで怒鳴り込んでいった母親が許せないらしく、母親に孫を一度も会わせていないと言っていた。

しかし、常連客のご婦人は喫茶店でいつも孫の自慢話をしている。孫の顔を一度も見ていないにもかかわらず、常連客のご婦人は、いつも孫の自慢話をしている。

 

いまのようにネットが普及する前は、自分を保つために必要な「人生の誇張」や「ガス抜き」を披露する場として喫茶店があった。他人を誹り、自分を誇張し、幸せを自慢する。

そんな喫茶店も、経営者の高齢化や客の高齢化でこれから衰退していく一方だと思う。喫茶店のマスターやママは街のカウンセラーであり、客は話を聞いてもらいに通う患者だ。そうやって日本のメンタルは保たれてきた。

 

僕はハンドメイド作家ヲチャーであると同時に、自称起業家ヲチャーでもあり、また、喫茶店のマスターやママさんにずっと喋りかける人のヲチャーでもある。これからもつぶさに観察し、人の世の人生の機微について考えていきたい。

 

人は心理学で永遠に幸せになれる

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