アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

いまこそ「プチカリスマ」の時代なんじゃないかと思う。

 

15 minutes of fame「未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」アンディ・ウォーホル Andy Warhol

プチカリスマという言葉を知ってるだろうか。

渋谷109のカリスマ店員、そして原宿のカリスマ美容師から始まり、いろんな業界、星の数ほどあるコミュニティの中で「プチカリスマ」という存在が話題になった時期がある。それはもうワイドショーやニュースバラエティーで「プチカリスマ」という言葉はたくさん消費されていた。今から10年前ぐらいだろうか。

で、ちょっと気になったので検索したら、この「プチカリスマ」という言葉、まったくヒットしない。なぜだろう。読モ(読者モデル)も一般人よりも少し有名という意味ではプチカリスマという範疇に入るのでしょうが、そう呼ばれることはありません。

 

この「プチカリスマ」という言葉。

意味は「仲間内のちょっとした有名人」や「街や業界のちょっとした有名人」的なニュアンスで使われることが多くて、テレビでこの言葉が取り上げられる時には、決まって「カリスマという言葉の意味が軽いよね」とコメントされていた気がする。

 

カリスマ

超人間的・非日常的な、資質・能力。英雄・預言者・教祖などに見られる、民衆をひきつけ心酔させる力。 「―シェフ」

▷ ギリシア charisma (=神の賜物(たまもの))

 

「プチカリスマ」という言葉は、ちょっと人をバカにした言い回しだった。

 

昔は有名になるのが難しかった

今のようにネットが普及してパーソナリティの露出が容易でなかった時代。有名になるというのはすごく難しかった。だから、有名になる選ばれた人と、有名になれないその他大勢、という共通の認識があったように思う。

昔(10年前以上)は、有名になるためには芸能人になるか、スポーツ選手になるか、政治家(国政)になるかして、テレビや雑誌に取り上げられて知名度が上がるしか方法が無かったんだけど、今の若い人にはおそらく想像もできないのだと思う。

 

プチカリスマの元祖は料理人

一般人のプチカリスマ化の始まりは、109の店員でもなく、原宿の美容師でもなかった。10年以上前に起こった「グルメブーム」がその始まりだと思う。

それまでたんなる料理人として十把一からげに扱われていた職業が、シェフという名を与えられ、徐々にカリスマ化していった。この現象に拍車をかけたのがフジテレビの「料理の鉄人」であって、番組が始まったのが1993年だから、もう22年も前なのか。

グルメブーム自体は、料理評論家の山本益博氏が火付け役で、1980年代には確立していた気がする。

 

でだな、

ここまで書いてきた「プチカリスマ」及び「業界のカリスマ」の共通点は、賞賛される、不特定多数からリスペクトされるのに相応しい技術や感性を持っているということだったんだけど、これが昨今はちょっと様子が違う。

「プチカリスマ」でも本物の「カリスマ」でも、注目を集めるにはそれなりの理由があった。芸能人やスポーツ選手、店員、美容師、料理人、普通の人とは違う、他に無い輝く何かを持っている人がそれなりの注目を集め、賞賛され、リスペクトされるという道程があったわけだ。

人にできない特技、その人にしか出来ない技術、芸術に秀でるというのもある。そういう、努力や研鑽を重ね、才能に恵まれ、人によっては下積みを経て、世の中の価値観を少し変えてしまうほどのインパクトを持った人物に注目が集まり、「結果」を出した人物への憧れや賞賛が、自然とカリスマ化を成していった。

 

重要なのは「結果」を出すか出さないか、それが有名になるかどうかの最初の登竜門だったわけですよ。

 

そこでだ、

 

ちょっとこれを見て欲しい。 

 

はてなブログ開設3記事目でSmartNewsに掲載されたということに言及された記事。

www.netpossib.com

 

19歳のフリーターが「人間はなぜ勉強するのか」を考えた記事。

reing283.hatenablog.com

 

21世紀のプチカリスマはこれだ

やっと見つけました。これぞ21世紀の「プチカリスマ」です。

発信をしていない一般の人よりも少し有名になった状態。これぞ新しいプチカリスマの定義なんじゃないかと思ったわけです。読んでみると40過ぎのオッサンにはフレッシュ過ぎる内容。まるで搾りたてのオレンジジュースのような新鮮さ。

いま若い人の間でブログがちょっとしたブームみたいになってます。起業よりも手軽で、バイトや就職して仕事をするよりは承認欲求も満たされる。ちょっとしたHowtoや等身大の考え方に言及するこういう記事、かなり量産されています。

先行している有名ブロガーの背中を見て、自分にも出来るんじゃないかと思い、行動に出る。手の届きやすい、見えやすい成功体験を得るには、いまはブログが一番手っ取り早いんです。主婦ブログと違うのは、書かれているのが日常のことではなく、誰かの衣を借りた内容であるということ。

 

で、この若い人のブログブーム、背景にはアフィリエイトサイトでの起業という影がちらつきます。いま、若い人でアフィリエイトサイトで成功している人が多いという話です。前掲の「SmartNewsに掲載」のブログの文章なんか、アフィリエイトサイトの文法によく似ています。もしかしたらすでにサイト運営をされているか、もしくはこれからアフィリエイトサイトの運営を始めようかという匂いが、そこはかとなく香ります。

前掲二者の共通点は、何かの専門家というわけでもなく、何かの「結果」を出したというわけでもなく、何かを始める「途中」の段階をブログに書いているということですね。普通は他人に見せない思考の過程をブログに残すというのは、考えを整理する上でもかなり有効だと思うので、そういう意味でも、若い人はブログでどんどん発信されたら良いと思います。それがその先の何かにつながるかもしれません。

 

バズることで何を得るか

しかし、バズる、というのは僕みたいなオッサンからするとチョット意味が違ってきます。例えば僕の仕事で言うと、自社プレスリリースがSmartNewsに掲載された後、どういうふうに売上につなげていくか、どういうふうに取引先のフォローをして売面を活性化させていくか、という「次」の一手につながる過程でしか無いわけですが、SmartNewsに掲載された事自体がネタになるというのは、プチカリスマ特有の現象なのではないかと。

バズるというのは、自ブログの記事がバズってアクセスを稼ぐことが目的なのか、世の中に広めたい発信ソースの認知度が上がることが目的なのかで変わってきます。下の画像は最近で一番バズった自社プレスリリースがニュースサイトで取り上げられたときのものです。

 

f:id:kocb:20151116011843p:plain

 

実際のサービスはこれ。

oharae.jp

 

これ、以前にも書いたけど、アクセスがニュースサイトで止まって空中で旋回して、実際のWebサービスまでアクセスが降りてこなかった。でも、このサービスは年に二回の大きなポイントがあるので、アクセスを増やすことよりは、以後のサービス知名度と検索上位表示のためにも、知名度を上げることを目的としていたので、これで結果として残すことが出来たという感じです。

しかし、プチカリスマブロガーはバズること自体が重要になってきます。専門家ではないのに経済を語り、ネットで調べた知識をまとめふうに書いてライフハック記事を量産します。

で、前出ブロガーさんたちが、これからバズる記事を書き続けるとどうなるか、その次のステップを見せてくれるのがこの記事です。

shiromatakumi.hatenablog.com

 

制作したものよりもWebデザイナーになったこと自体が重要になる

現在では、書籍を読んで独学でWebデザイナーになったことすらバズります。この方、ブログで発信し続けながら、しかも、身を持ってニュースソースを作り上げたわけです、セルフプロモーションです、セルフブランディングです。ブログでモチベーションを構成し、鼓舞し、研鑽し、念願のWebデザイナーになられたわけです。プチカリスマ界隈では、Webデザイナーとして制作したものよりも、Webデザイナーになって転職したことのほうが重要になるわけです。

笑ってはいけません、そういう人の努力を笑う人に対して、このブロガーさんはこう書いてらっしゃいます。

 

未経験の28歳がWEBデザイナーを目指したとき、周りはネガティブな発言ばかりします。「いやー、未経験では厳しいでしょう」って言います。

 

でも、本当にWEBデザイナーになりたいなら、無視しましょう。忘れましょう。少なくとも、28歳ならまだ大丈夫。

 

とりあえず、飛び込んでみて下さい。

 

そのとおり、共感します。他人は無責任なことばかりいいます。ネガティブなことばかり言う人とは縁を切ったほうが得策です。同じものを見ても、そこから良い物を引き出すか、息を吐くようにネガティブな事を言うのか、そこでこの先の運命の開け方が違ってきます。ぜひネガティブな意見は無視して進んでください。

 

プチカリスマの基本は後輩へ伝えること

この方は、Webデザイナーとして働き始めて2ヶ月という段階で、これからWebデザイナーを目指す人へのメッセージを書かれています。たった2ヶ月でこの「先輩ヅラ」です。悪い意味で言ってるんじゃないんです。いい意味で「先輩ヅラ」をしてるなあと思うんですよ。 これは本当は、他人に伝えている言葉ではなく、自分の成長を確認するための「先輩ヅラ」なんです。やっと自分の足跡を人に見せられるようになった、という成長の痕跡です。

就職して2ヶ月でも先輩は先輩、プチカリスマのブログは情報商材サイトの簡易版です。アフィリエイトサイトの練習版です。どんな些細な情報でも、知らない人は世界中にいます。知りたい人に向けて知りたいと思っている人に向けて情報を提供する。これはネットが普及していない昔では出来なかったことです。

 

プチカリスマの主戦場はテレビや雑誌ではなくネットへ

この「先輩ヅラ」こそが21世紀のプチカリスマの正しい姿だと思ってます。オッサンの我々からすると、その昔、Webデザイナーになるための専門学校や専門コースが出来たことにすら「ぷぷぷw」となったわけですが、そんな心の汚れた事を言っていたら、若い人たちのピュアな心は理解できません。一生懸命やっている人たちを見守ることこそ、我々オッサンのできる唯一の応援なんですから。

ここまでに引用したブロガーのみなさま、まだ若いうちから発信という力を身に着けていて、本当に羨ましく思います。僕みたいなオッサンでは考えつかない世界に羽ばたかれることでしょう、これからもがんばってください。

 

いまこそ「プチカリスマ」の時代

情報を得るのが困難だった昔と違って、いまは情報へのリーチも、情報の発信も簡単になりました。それ故にプチカリスマ、プチカリスマブロガーの乱立という現実も起こりえるでしょう。いや、もうそういう時代になってきているのかもしれません。

昔のように、長い道のりを経てでしか得られなかったものが、若い感性やセンスと、現代のテクノロジー、ネット上に溢れかえるTIPS・Howtoを駆使することで、本当にスピーディーに展開できる可能性を秘めています。数ヶ月で寿司屋を立ち上げることが当たり前になる時代もすぐそこまで来ているかもしれません。

www.j-cast.com

 

「プチカリスマ」という言葉がググっても出てこないというのは、それ自体が当たり前になってしまっているからではないかと思います。登り詰めた人だけが社会に対して発信する時代は終わったわけです。40年以上前にアンディ・ウォーホルはこう言って今のプチカリスマを予言しています。

 

"15 minutes of fame"

「未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」

アンディ・ウォーホル (Andy Warhol)

 

いまこそ「プチカリスマ」の時代なんじゃないかと思ってます。ブログはこれから何かを始めようとする若い人には適したメディアなんじゃないかと思うし、発信する力は社会に出てからもものすごく重宝します。ですから、若い人はどんどん発信して、ぜひ新しい時代のやり方を作っていってください。

 

では仕事に戻ります。