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アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

夢を詰め込まない、現実的な出店計画のすすめ。

アイデアのスープ 出店

というわけで仕事してます。

 

年末年始でスタッフが足りなくて、僕が合間でパン焼きとかするんですが、これはそのうち大規模なスタッフ募集をしないといけない感じがしてきました。なんせ、僕がいなくなるので、その前にもっと仕事の精度も上げておかないとヤバいなあと思ってます。

 

で、昨日から新店舗の準備に入ってます。準備と言っても、購入する機材や備品のリストアップと、配置を考えてるだけですが。ふつうならこういう作業が一番楽しいはずなんですがね、もう出店というのが五回目ともなるとワクワクドキドキなんてしません。コストを削るだけが生きがいです。

 

これからパン屋さんをオープンしよう、と考えているような希望にあふれた若い人にはあまり参考にならないと思います。今回は店で売上を出そうとしていないので、極端に言うと新店の売上がゼロでもやっていけます。他の店の売上で十分なのかと言われれば、岡山のセントラルキッチンの売上なんて知れてます。じゃあどうして出店するのかというと、出店することで生まれる波及効果が会社全体の売上を上げてくれる相乗効果を生み出してくれるからです。分かりにくいでしょ。でも、まあそういうことです。

 

まあ、早速、図面でも見てみましょうかね。

 

 

 

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新店舗は面積が二坪もありません。しかも変形、しかも真ん中に大きな柱が立っていて、導線もヘッタクレもありません。間口が3,480mmですか、その中に焼成から販売までの機能をすべて詰め込みます。無理のある感じが良い感じです。

 

そもそも予算がないので機材に関しては三ヶ月ももてばいいよ、というくらいで考えてます。三ヶ月もすれば次の展開が見えてくると思うので、それまで動いてくれればあとはスクラップで業者に処分してもらえればいいという考え方です。

 

というのも、この店、そこまで売上が上がるような要素を持ってません。交通の便も悪い、敷地も狭い、金もないという、かなり悪い条件で店を出します。しかし、どこへんのラインまで売り上げが出るか、最悪の場合でもどのくらいは売れるか、というのは、今までの経験や数字で分かります。その中で、ギリギリやっていける数字を出すために必要な最低限の設備だけを揃えるようにしてます。

 

この店は僕の中で三ヶ月か半年がメドなのではないかと踏んでいます。そのくらいのタイミングで他にいい物件があったら移転しようという計画は、出店の話が持ち上がった時から考えていることです。三年後、五年後にどうするかを見越して布石を打つ感じの出店です。

 

 

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正面から見るとこういう感じになります。ビアードパパのシュークリームみたいです。ここでグランパーニュを焼き、その他の商品も焼成し、店頭に並べて販売するわけです。いつもなら3DCGでシミュレーションするんですが、物件も物件なので、簡単に配置図だけを描いてます。ようは工場の中で身動きできるかどうかを確認できたらいいわけです。 

 

二坪弱のスペースに製パン機械を詰め込むために、諦めなければいけないことが多くあります。これは売上予測からの予算編成も関係してきますが、小さくて安いコトが条件。性能や耐久性は二の次です。壊れてもすぐに買い換えれるくらいのものに抑えておかないと、何か起きたときに必ずヤバいことになります。

 

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オーブンとミキサーは中華にしました。国内メーカーのものと比べて半額以下です。今回は初のホイロを使います。いままでコンテナ内で発酵だったんですが、新店舗では小型のパンも焼く予定なので、ホイロは必須でした。ホイロは欧州天板六枚刺し、オーブンは欧州天板一枚刺しが二段。庫内が狭いので熱が逃げにくく、けっこう効率いいんですよこれ。セントラルキッチンも、開設の十三年前は国内メーカーの一枚刺し二段という構成でした。問題はスチームですが、これもさほど複雑な機構ではないので問題ないと思います。

 

あと、諦めたのはミキサーの大きさ。セントラルキッチンも予算がなくていまだに30クォート1台とかをブン回して、繁忙期のピーク時には仕込みで100万/日とか製造かけるわけですが、新店舗は卓上の10クォート。グランパーニュ1本仕込むのに3回ミキサーを回します。一見、面倒だと思いますが、ここにグランパーニュの仕込みの秘密が隠されていて、分割で回すことによって、より安定して早く作業が回るようになります。

 

あとは作業台や引き出し付きのミキサー台とか、そういったものですね。あと、冷凍ストッカーは無理やりスペースを作りました。これがないと売上に対するバッファが薄くなります。セントラルキッチンで仕込んだ冷凍生地で、ある程度バッファを稼いどいて、スクラッチで製造する商品の不安定さをカバーします。あと、セントラルキッチンで完パケした商品も販売します。

 

販売構成率は、スクラッチ製造30%、冷凍生地20%、完パケもの50%というふうに試算してます。1人で日商20万を出してもうろたえない店作り、というのが今回のテーマだったので、そこに的を絞りました。スクラッチで6万円分仕込めば、その3倍までは売上の限界を引き上げられるという感じです。

 

最後に、今回の出店費用の内訳。

立地が悪いのでロケットスタートというわけには行かないでしょうから、オープンから1ヶ月かけて出店費用を回収しようという計画にしました。いままで出したお店、高円寺や岡山駅は、オープンから1週間で出店費用を全額回収してきたので、今回の新店はわりかしスパンを長めに見ていますね。それだけ今回は慎重に動いているということです。

 

僕にとっての「お店を出す」ということは、目指す目標に向かって、将棋の駒を進めるというのに近いので、1店舗や2店舗を潰そうが、結果として目指す先に向かって一歩でも進んでいれば成功ということになります。だから、出店費用は即座に回収、利益が出たら他に投資、投資先が失敗しても本業だけは生き残らせて次に移る。というやり方を実践してます。店を出すのが目的ではなく、あくまでその先に何が見えているかが、生き残れるかどうかの差だと思います。

 

では明細を。

 

内 訳金額
ストッカー 46,440
ミキサー 109,250
デッキオーブン 740,000
作業台 18,187
販売台 43,684
ミキサー台 37,485
軟水器 25,320
ワイヤーシェルフ 9,980
木工造作工事 105,000
電気設備工事 182,559
給排水設備工事 79,040
雑工事 48,000
現場管理、諸経費  40,957
消費税  118,872
合計  1,604,774

 

これが現実的な出店ではないかと思ってます。もし、売上不振で潰れても、出店資金の回収さえ終えていれば、すぐにまた次の新しいことにリソースを割いて動くことができます。夢を詰め込まない、現実的な出店計画をすることで、いままでもなんとか生き残ってこれたので、これからも手段としての出店は、あまり夢を見て地獄に片足を突っ込まないようにやっていこうと思ってます。たまに神社のプロジェクションマッピングに何百万も突っ込んだりしますが、それはそれで新しい事業につながっていく投資だと思ってます。

 

飲食店開業・経営の成功メソッド

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