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アイデアのスープのレシピ

ナショナルデパートが作られる現場のレシピ

商標を出願して始まる事業化もある。商標先行事業化スキームについて。

アイデアのスープ ビジネス 起業

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どうも、みなさん商標出願してますか?

昨年出願してた商標の登録査定が続々と送られてきたので、今日は「私と商標」というテーマに少し。ではなく、事業を始める一歩として商標出願を利用するという、私の事業化スキームについて少し。

 

みなさんは事業を進めるにあたって、だいたいどのくらいのタイミングでプロダクトやサービスの名称・呼称について商標を出願しますか?
名称が思いついたとき、事業化の承認が得られたタイミング、リリース直前、リリースと同時に、リリース直後、などなど事業を始める個人や企業によってそのタイミングはさまざまだと思います。最近の事例(ちょっと話題になった商品やサービス)をいろいろと眺めていると、リリースと同時か、リリース直後(発売日ではない)に商標を出願している事例が多く見られます。

これは、商品やサービスの起草や開発段階で商標を出願すると商標の出願公開制度によって出願状況が公知となり、どんな商品を開発しているか推測されかねないというリスクもあるので、情報が公知となるリリースのタイミングまでは商標として出願しない、という考えがあるのだと思います。

たとえばある企業A社がページをめくるように使用できる付箋を開発し「めくりんこちゃん」という商標をリリース前に出願した場合、A社はめくることを訴求する商品の開発をしているんだな、と競合B社に推測されてしまい、B社はA社の新製品の持つ“めくる”という機能に“はがす”という機能を加えた商品を企画し、A社が「めくりんこちゃん」をリリースする前に、B社が「めくるくんとはがしちゃん」という新商品をA社よりも先にリリースし、同時に名称を商標出願した場合、A社の「めくりんこちゃん」の市場での新規性は薄まってしまいます。

とまあ、こんなあからさまなことは無いよね〜、とは言い切れないのが知財の奥深いところで、業の深い人の世の常とでも言いましょうか、商標と不動産は先に取ったもんがちなので、事業の中で商標出願をどのタイミングでおこなうかというのは、商品やサービスの新規性や市場性を鑑みて決めるのだと思います。

なんですが、世の中にはまだ商標というものの恐ろしさをあまりご存じない方も多くいらっしゃるようで、そういうのを見せつけられた事例が最近ありましたね、そう、ピコ太郎氏の「PPAP」(ペンパイナッポーアッポーペン)のことです。

 

PPAPの商標問題

まあ、噂の(古い)PPAPのようつべ初めて見たんスけど、これ動画公開日が2016年8月25日なんすね、そして翌月の9月28日にジャスティン・ビーバー師匠によってTwitterで紹介されてブレイク、という流れのようです。この動画公開日の8月25日、ブレイクポイントの9月28日という日付に注目しながら「PPAP」の商標出願状況を見ていきましょう。

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「PPAP」のブレイクポイントの約1週間後には当事者以外から商標出願がありました、有名なBL社ですね。そしてその9日後にエイベックスが商標を出願。マスコミが報じているとおりBL社が先願権を得たという感じになりました。エイベックスの出願は「PPAP」のブレイクポイントから2週間後なので、後塵を拝するというかたちになってしまいました。まあこれは制度上の問題なので、誰が正しいか正しくないかということではなく、日本の知財が先願主義なので致し方ないことでしょう。

でも、このBL社、出願料を納付せずに出願して先願権を主張するという制度の穴につけこんだやりかたで、手続上の瑕疵のある出願ということになり、商標登録されることはないと特許庁が異例の注意喚起までおこなっています。

www.jpo.go.jp

じゃあこの「PPAP」問題を見て、なんでもかんでも商標出願しなきゃ!というわけでもないんすよね。名称・呼称は商標以外でも権利を守る方法はあるわけです。この場合はまさか世界的にブレイクするとは当事者たちが誰も想像していなかったでしょうし、まさか部外者が先に出願して先願権を主張するとは夢にも思わなかったでしょう。

しかし、このような事後出願という状態以外に、商標を出願することでアイデアを事業化するかどうか検討する材料とする方法もあります。それが私の提唱する商標先行事業化スキームです。(いま思いついた言葉)

 

思いついたら即出願。

で、その商標先行事業化スキームってなんですのん?

という感じだと思いますが、私の場合、事業化のだいたいのやり方が決まってるのでそれを例えに書いてみます。私の場合、商品やサービスのアイデアが思いついたらすぐにその名称を考えます、候補はいくつもあげますが、図案にした場合の見栄え、ドメインを取得できるかどうか、言葉の響きやイメージ、商品やサービスのイメージを喚起しやすいかどうか、日本語圏以外でも読めるかどうか、簡潔であるかどうか、という項目で選定します。

そして商品やサービスの名称が決まったら、それを肉付けしていきます。この場合の肉付けとは事業化のプロセスをあらかじめ決めてしまうということです。その中心に名称を配置します。どんなに枝葉が分かれてもこの名称の元で展開するというテーマとするのです。

これでいけると思ったら事業計画書を書いて、深く深呼吸したぐらいのタイミングで商標を出願します。まだ商品やサービスは何一つ形になっていない状態で商標を出願するのです。商標は出願してから登録査定(登録できますよ〜)や拒絶査定(登録できませんよ〜)の結果が出るまでに半年から1年ぐらいを要します。この間に当該事業計画が本当に事業化できるかどうかを再検討し続けるわけです。また他にアイデアが浮かんだらそちらの仕事も進めておきます。

さて、いよいよ半年後、出願した商標についてめでたく登録査定が出た場合、その時点でまだ事業化する意志があるかどうか、社会情勢と新事業がフィットしているか、そのようなことを考えます。半年前は「これで億万長者だ〜!」と息巻いていたのに、いざ商標の登録査定が出た頃には陳腐なものに見えたりすることがありますよね、この出願後の半年間が事業化を検討する上で非常に重要な深呼吸期間となるわけです。

じゃあ、興味を失ってしまった商標はどうすんの?といいますと、あっさりと流します。ようは登録をしなければいいのです。出願料の12,000円は捨て金になりますが、12,000円で事業化のキッカケを作れて、半年間の熟考期間を得て、もし熱量が保てていたなら事業開始と同時に登録商標を持てるというメリットを考えると1事業案につき12,000円は安いものだと思います。もし、捨て金になるかもしれない出願料12,000円が高い、コスパが悪いと言われるのなら、企業セミナーに通ったり、スタバでMBPを開いてドヤ顔したり、コワーキングスペースでエンターキーを「ターン!」と叩く無駄な時間やコストを払い続けたら良いと思います。

そんな感じ。

ちょっとワイフを迎えに行ってきます。

 

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