グランパーニュはやたらとデカイので、普通のスライサーではスライスできない。で、グランパーニュ専用のスライサーを作ろうと悪戦苦闘の日々。ベースとなるテーブルソーを買ってきて、あーでもないこーでもないと、、、食品を切るというのは割りとノウハウ要るのね。
食品製造・加工機械というのは、食品に直接触れる部分はステンレスとか、酸化皮膜処理したアルミとか、フッ素加工した鋼とかなんだけど、そういう部材系をワンオフで作って何やかんややってるとかなり高額になる。
あと、モーターの回転数も木材加工の丸ノコよりもかなり遅く設定してやらないといけない。パンくずが飛び散るのを厭わなければ、このままでもいいんだけど、ソーに弾き飛ばされたドライフルーツが秒速50mぐらいで飛んで来ると凶器に近い。こえーよ、死ぬかと思った。
ジグソーを改良して作ろうかと思ったが、分解すると、あれって刃の固定具のタイミングを合わさないといけないらしく、どうして難しい。
基本的にパンは刃の回転か、刃のスイングで切るので、ジグソーのような前後や上下運動で切るのは難しい、と思いながらいろいろ探してたら、工具メーカーのBLACK+DECKERからハンディーソーを民生用にした家庭用の電動ブレッドナイフが出てたのね。評価も100以上ついてる。すげーな。

BLACK+DECKER 電動ブレッド&マルチナイフ EK700
- 出版社/メーカー: Black & Decker
- 発売日: 2013/08/12
- メディア: ホーム&キッチン
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パンくずを出さずに綺麗な断面に切り落とすには、刃の垂直がブレないことが求められる。これまでいろいろとパン切りナイフを買い換えてきて、いまは刃渡り50cmのナイフでエンヤコラと切ってもらっているんだけど、これがけっこう大変。
朝から3人がかりで切り始めて、お昼過ぎまで余裕でかかる。この手間や人件費を抑えるために新しくグランパーニュ専用のスライサーを作ろうと言うのだ。
それに、新しいパッケージはパンの中身がすけて見えるように設計されているので、脱気して脱酸素状態だと、多孔質のパンはどうしても潰れてしまい、形状が一律に安定しない。そのためにもパンのスライス時点で均一な状態で仕上げたかった。
グランパーニュは600mm×400mm×150mmというデカさなので、普通のパンスライサーでは切ることができない。200万する自動スライサーでもこの大きさは入らない。モバックショウに行っても、スライサーメーカーは数あれど、ハード系のパンをスライスできる機械は本当に少ない。困ったものだと思う。
で、冒頭の画像のテーブルソーはどうだったのかというと、刃の形状もチップソーだということもあるけど、この構造で改良を続けても良い結果は得られないだろうということになり、ワイフやスタッフに意見を聞いたところ、
「手で切ったほうが早い」
という結果となり、半日かけた僕のグランパーニュ専用スライサー開発計画はここに幕を閉じたのである。行き場を失ったテーブルソーはワイフのDIY用になることとなった。
しかし、僕はまだ諦めていない。いつの日か必ずやグランパーニュを自動で切ってみせると心に誓ったのである。