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外国人技能実習生問題と非グローバルな日本人の想像力の欠如

 外国人技能実習生がニュースで話題になってますね。

父親が実習生を受け入れているという方のブログも話題になっていましたが、実際に外国人技能実習生を受け入れている側の人は口を閉ざすようです。まあ、ここまで「悪」とされてしまうと受け入れ側は口を閉ざすでしょうね。

ですが、現実として今こうしている間にも外国人技能実習生はどんどん日本に送り込まれています。では実際にどうやって外国人技能実習生は日本に送り込まれ、日本国内の企業で技能実習(実際には働く)に配属されていくのか、そういう現場はあまり知られていないような気がします。

死ぬまで働かせる日本の企業が悪い、制度設計自体が悪に加担している、送り出し機関といは言っているが体のいい人身売買組織じゃないか等々、いろんな意見があると思います。

じゃあ実際にどうやって外国人技能実習生は送り込まれるのか、受け入れ側の企業はどんな考えで受け入れるのか、とにかく人手が欲しい、日本人はすぐに辞めてしまう、そんなことで頭を抱える雇用担当者や経営者の悩みの解決策として、外国人技能実習生の甘い誘いは忍び込んできます。

以下は僕のところにきたメールです。

 

 

突然のご連絡申し訳ございません。

私はカンボジア王国の外国人技能実習生に関するJITCO認定の送出し機関
〇〇〇〇
代表取締役〇〇〇〇と申します。

弊社は〇〇年〇〇月に設立された〇〇〇〇の送出し機関で、日本には関西、中四国、九州を中心に優秀で素直なカンボジア技能実習生を配属しております。

今回はパン製造の外国人技能実習生のご紹介でメールさせて頂きました。

弊社ではパン製造・惣菜加工業界を中心に、最近では機械加工等、幅広い業種に対応致していますので、御社の厳しいご要望にも責任をもって対応できると自負しております。

私自身がODA(政府開発援助)の活動も行っており、田舎などで学校や病院を作ったり、医療活動をしたりする関係上、カンボジアの王様や村長、地区長さん等と良い関係があります。 その為、幅広い地域から実習生をたくさん確保する事が可能です。

現在、日本には〇〇〇〇に駐在所を構え、カンボジアスタッフ、日本人スタッフを常駐させて、普段の実習生監理も行っております。
御社のご担当者様がお時間があるときに、日本駐在所の担当者が御社までお伺い致しますので、何かご質問などありましたら、ご遠慮なくお問い合わせいただきますよう、よろしくお願い致します。

 

 

数年前に届いたメールなのですっかり忘れていましたが、差出人はカンボジア現地の人の名前でした。現地の外国人技能実習生送り出し機関の代表者名でメールが届きました。

僕の会社は岡山県に工場を持っているので、西日本エリアに実習生を送り出しているこの機関からメールが届いたのだと思います。問い合わせフォームからなので、スパムではなさそうです。

ちゃんと弊社の事業内容も調べて、「パン製造の外国人技能実習生のご紹介」と文中に書かれていたので、ああ、製パンも外国人技能実習生を受け入れられるんだ、という印象を持ちました。

これ、採用担当者や経営者に届いたら、ちょっと見てみようかと思いますね。ここがすべての入り口なのかも知れません。

 

外国人技能実習生の種類

外国人技能実習生については、企業単独型と団体監理型の2種類があるようです。僕のところに来たメールは団体監理型の送り込み機関のようですね。

図を見ると、なんだか普通の派遣さんみたいな制度のような気もします。

 

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https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/index.html

 

 

送り出し機関にコンタクトを取ってみる

当時は弊社の工場も猫の手も借りたいぐらい忙しかったので、実際に外国人技能実習生とはどんな感じなのか聞いてみようということでメールに返信してみました。

で、返ってきたのがこのメール。

 

 

お世話になります。

この度はお問い合わせありがとうございます。。

外国人技能実習生について、雇用形態は企業様と直接雇用となります。

組合は各官公庁への書類、報告、監査および実習生の通訳などを請け負う形です。

日本人の派遣とイメージは近いですが、大きな違いは

  1. 基本的に3年間は辞める心配がない
  2. 日本人と違い残業など、業務に積極的である
  3. 外国で求人をかけるので、性別・年齢など企業様の要望にある人材に絞って募集できる

等があります。そのた、詳細など一度ご説明にあがりたいので、〇〇か〇〇にお時間ありませんでしょうか?

 

 

このメールから差出人は日本国内の駐在所にいる日本人にバトンタッチされていました。

なるほど、外国人技能実習生は直接雇用なんですね、面倒な書類系の手続きも全部代行してくれるらしい。派遣社員と似た制度ということが書かれていました。なるほど、ふむふむ。

文中、派遣社員と大きく違うところが強調されるようにリストで書かれていました。こんなの読んだら採用担当者や経営者のこころはぐらつくでしょうね。

 

 

  1. 基本的に3年間は辞める心配がない
  2. 日本人と違い残業など、業務に積極的である
  3. 外国で求人をかけるので、性別・年齢など企業様の要望にある人材に絞って募集できる

 

 

3年間辞める心配がない、残業に積極的、性別・年齢を絞って募集できる。

これ、今の日本では不可能なことですね。これを書かれたら心が持っていかれると思います。辞めない、残業オッケー、性別年齢でスクリーニングできる。夢のような制度に感じられます。

こんな事が本当に可能なのか気になったので、日本の駐在担当者と連絡を取ってみようかと思いました。日本国内では、若い人は色んな理由があれすぐ辞めるというのをよく聞きますし、残業代が出ようとも残業をしたがらない人が多いと聞きます。また、人材募集広告の中に性別や年齢制限も書けなくなってきたというのも聞きます。

日本国内で日本人を雇用するのは零細企業ではどんどん不可能になりつつある中で、外国人技能実習生というのはかなりキャッチな謳い文句が並びます。

 

実際に話を聞いてみた

で、日本の駐在担当者と電話で話してみることにしました。

先に書くと、最終的に僕が外国人技能実習生に対する興味を失ったのは、この担当者の受け答えが理由なんですが、楽天やGMOの電話営業をかけてくるあの感じ、と言ったら分かっていただけるでしょうか、軽妙で軽薄な感じ。でも聞いてみないと分からないので、一応以下の質問をしてみました。

  • 本当に3年間は辞めないのか
  • なんで残業を嫌がらないのか
  • 給料はどのくらい出せば良いのか
  • その他の待遇はどのようにすれば良いのか

Q:本当に3年間は辞めないのか
A:「辞めにくい制度なんですよ、彼らもお金を持って帰らないといけないんでw」

Q:なんで残業を嫌がらないのか
A:「残業した分だけお金が稼げるからですよ、彼らはよく働きますよ〜w」

Q:給料はどのくらい出せば良いのか
A:「御社のご自由にお決めください、日本人と同じでも良いですし、多くしても少なくしても、そこは自由です」

Q:その他の待遇はどのようにすれば良いのか
A:寮なんて用意する必要はありません、他の日本人と同じような待遇で大丈夫です」

 

その他にもいろいろと聞いたのですが、なるほど、これが外国人技能実習生の闇の部分か、と思わされる内容でしたので割愛。別にこの機関を糾弾しようなどとは考えていないので。

外国人技能実習生の制度は当時から問題にはなっていたので、本質的な部分をいろいろ聞いてみると、返答に歯切れが悪くなりました。まあ、そうだろうとは思います。

しかし、実質の出稼ぎに来る実習生にも事情があるでしょうし、劣悪な環境で雇用する事業者にも事情があるでしょう。死人が出たりしていることは看過できませんが、その外国人技能実習生を受け入れる、送り出す最前線ではこのようなやり取りが行われているというのを知っていただけたらと思います。

 

この問題、結局は外国で働いたことのない日本人の想像力の欠如が問題なんじゃないか

で、さまざまなニュースになっている外国人技能実習生の諸問題なのですが、僕の個人的な考えではグローバルではない日本人の想像力の欠如が原因になってるんじゃないかと思ったりします。

いきなり知らない国に放り込まれて働く、これってすごいストレスなんですよね。でも彼らは懸命に頑張っている。頑張っているというか、頑張らないとしょうがないんですよね。

僕もパリの百貨店で自社製品を実演販売することになったことがあって、実際に行ってみると現地ブローカーは全く手配していなく、現場は「あなた何しに来たの?」という冷たい視線、言葉は通じないし何していいかを指示してくれる人もいない、そりゃもう必死です。

先の送り込み機関の担当者が電話で言っていた

「彼らはよく働きますよ〜」

違う、そうじゃない。

そうじゃないのよ。

言葉の通じない異国の地では必死でやるしか無いんです。

話は戻って僕のパリでの仕事生活。最初は変なアジア人が勝手にやってるよという風な冷たい目で見られましたが、日本の百貨店でやるときみたいにやや過剰な接客をしていくうちに、現地スタッフから面白がられ、だんだんと信頼を得ていきました。日本に帰るときには現地スタッフから記念撮影を求められるくらいに仲良くなってました。

ずっと無愛想でニコリともしなかったセキュリティも、最後はハグして別れを惜しむくらいに、ちょっと涙が出てしまうほどでした。

知らない国で認めてもらうためにはマイナスからのスタートです。外国人技能実習生も同じような気持ちだと思います。毎日が必死です。

僕の場合は自分の会社の商品を実際に売るということなので、期間も違いますし外国人技能実習生とは少し違いますが、それでも言葉の通じない異国の地で、何のサポートもなく、でも必死でやらなければいけないというのは同じです。

そんな毎日を必死で生きている外国人技能実習生のことを「安く使える外国人」という捉え方をする送り出し機関も雇用する事業者も、やはり想像力の欠如なのかなあと思ったりします。

コンビニで、飲食店で、異国の地の日本で必死に頑張っている外国人の方々を見るたびに、すげえよ、彼らは頑張ってるよ、僕も頑張らなきゃと思うのです。